玉井次郎
ソープランドでボーイをしていました
彩図社 2014
表紙カバーのソープランドの文字の縁取りがぼんやり光る様で、
夜の街の看板の雰囲気を出している、こういうちょっとしたのが良い感じ。
内容は、投資の失敗で貯金を東日本大震災で調理師の仕事を失った男が、妻と息子とローンの残った家を守る為に出稼ぎする話。
仕事は吉原でボーイ、家族には内緒の仕事経験を元にした実話。
ソープランドの新入り職員から見た内情と、個性豊かな同僚に、働く女性との淡い交わり、様々な客。
そしてハードワーク。
1にも2にもハードワーク、キツイ仕事内容が書いてある。
文章自体は読みやすくスイスイ読めるし、読後感もさっぱりしている。
ヤクザ、宗教はサラっと、障害者はほんわか、病気は少し、本当の意味でヤバいものや気分を害するものは書かれていないのも読みやすい理由か。
青春小説の様な印象も受ける。
男は頑張り、職場内での評価も高くなるが、結局のところ1年足らずで辞めてしまう。
地元の旧知の仲間が飲食店を再建したので手伝ってくれと言う誘いに乗る為だ。
但し、地元に戻れる代わりに収入がボーイ時の半分になる。
家のローンを払う為の家族と別居より、破産して家族とアパート暮らしの方が価値があると、考えたからだ。
どうやって生きるかではなく、誰と生きるかが大事。
1年足らずの独り相撲で出した結論は、家のローン完済と生活レベルを維持することではなく、生活レベルは落としても自分の好きな仕事をし家族と一緒に暮らすこと。
男はそう結論付けた。
ここは自分も考えねばならんなと思う。
それにしても、この男にとって嫁さんが魅力的なんだろう、金を稼げではなくとにかく帰って来てくれ、わがまま息子を叱ってくれと言う家族運営第一主義の、この嫁さんは印象に残る。
同僚達が次々辞めていくところに、主人公が汗だくで頑張った季節の終わりに秋風が吹くような気もし、
全力で働いて、一息ついた時に失った物に気づくなんてことにならないようにしたい。
彩図社の本は重めのテーマを軽い感じで作る方針なのか、HPを見ても
怖いもの見たさで見てしまいそうな本が多い。
この作者はこれ以降書いてないみたいだが、ブログをやられていて
嫁さんと一緒の写真を載せている、ソープランドで働いていたことは内緒のはずなのに良いのかいな?と思うが、仲良きことは美しき哉と言うことで。
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