Aの記

読めば読むほど強くなる本を探しています。

今週のお題「SFといえば」、トリフィド

今週のお題「SFといえば」

 

トリフィド時代―食人植物の恐怖 (創元SF文庫) 

子ども読書から大人読書へステージを変えてくれた1冊。

 

厳密には初めて読んだのはこちら


怪奇植物トリフィドの侵略 (少年少女世界SF文学全集) 

少年少女世界SF文学全集の1冊で子供向けに改編されてたんだろうと思う。
中学生の時、学校図書館にこのシリーズが全部入ってきて、非常に面白く毎日新しいの借りて読んでは返しをし続けた。
その中でもこれが自分には最も衝撃的だった。

衝撃と言うか多分、興奮してた、目とか血走っていたと思う。

宇宙だロボットだの無くてもここ迄スケールの大きい話が作れるのかと、
何かを表現する時にSFと言うジャンルが非常に分かり易い舞台装置になり、
それがあくまでも人間・社会を描く為のリトマス試験紙と言うか、
人間・社会のいい面悪い面をより強くあぶり出すためのツールになると理解した。

 

話の流れとしてはゾンビ映画に近い、近いと言うかそれらの源流の一つと言われている。
ゾンビ映画も大きな災厄が現れるが、結局のところ個人においての敵は人間であることが多い。
つまり問題も困難も避けられないモノではあるが、
それを大きくしたり長期化させるのは人間のわがままだったり保身だったりと言う
ベタと言うか不変のシステムがトリフィドには既にある。

そして人類の手に余る大きな力を、辛うじて制御出来てるだけなのに今大丈夫と言うだけでのんびり構えて運用してしてしまう。これなんて身近なニュースでもあるね。

 

これを読んで後、所謂子供(大人)だましの作品かそうでないかを
自分の中で線引きしてしまうようになってしまった。

 


18歳位の時か創元社版を書店で偶然見つけ買った。当時は読書量も減っていて行ったことない書店を見つけたから、ただ覗いただけだったが運がよかった。
文庫棚は背が低くその最上段に表紙を正面に立てかけられていた。

 

自分の知ってるトリフィドの表紙はカラフルでモンスター映画のそれだったが
創元社版はシンプルに図案化されたもので、ちょっと星新一とかあの辺の挿絵やもっと大分古い「モダン」とか言う言葉が使われた時代の外国のポスターとかの様でお洒落通り越して品格まで感じた。
そもそもタイトルも「怪奇植物○○」「○○時代」で全然ちがうのだが、トリフィドと言う言葉は流石にひっかかった。

 

秋だか冬だか落ち葉が地面には随分あって歩くとガサガサ言う日で、日没は早かった。
僕は文庫にしてはお高いその本を買い、
書店を出てから直ぐに紙袋から出し、歩きながら読み始めて
大分遠回りして読み続けてたが本の文字を読める空の明るさではなくなり駅に向かい、
その後も読み続け
階段ホーム電車内乗り換えながらも読み地元駅、
家でも読み続けて夕食や風呂なども挟みつつ読み続け寝る前には読み終えていたと思う。

中学の頃の感想は間違ってなかった、やっぱ凄い、映画化決定!と思ったものだった。

 

ちなみに当時、映画版の有無は分からなかった。
その頃のネットは普及してなかったし僕自身も映画の知識が浅かった。
後に分かるが人類SOSと言うタイトルでうん十年も前に映画化されていた。
DVD化もされていて見たが結構いい線いってた。
イギリスではTVドラマ化もされている様だがそちらは未見。

 

良い本は読んだ時の事がハッキリと思いだせる。
ハッキリ思い出せる日が増えるのは良いことだろう。

何年か前に新訳が出たらしい、翻訳は新しい方が読みやすいだろうから
読んでない人はそちらを読めばよいと思う。

格調高い以前のものとすると表紙が少し気味悪い感じになっててあれもまたいい。

 

 

ああ、SFか、SFはなんだろう、ノイズが減ってテーマが明確化し
よりお話と人物描写に集中しやすいお話の形式かなぁ。

トリフィドを原発に置き換えてもバイオエタノールに置き換えていいし、
地球を覆う障害をネットの崩壊に置き換えても良い。

SFはいいですよ。

 

トリフィド時代 (食人植物の恐怖)【新訳版】 (創元SF文庫)

人類SOS! トリフィドの日 完全版(日本語吹替収録版) [DVD]

20220724更新