Aの記

読めば読むほど強くなる本を探しています。

その発言は誰の受け売りですか?「パロティングが招く危機 : メディアが培養する世論」

◆社会と言う集団が一定の方向に急速に傾くことはしばしばある。しかし、健全な社会はそのような状況に対して疑問を呈し、振り子が揺れ戻るようにバランスを取り戻す。


◆日ごろ接触しているメディアで見聞きしたことを深く考えることもなく、あたかも自分の意見であるかのように受け入れる場合が増えてきてはいないだろうか。


◆「パロティング」と呼ばれるこの行動では、新聞でいえば「見出し程度」の情報にもとづき、その問題に関する詳しい情報をほとんど持たずに、「聞かれれば答える」のである。


◆パロティングが増えれば、新聞やTVニュースの論調の変化にともない、「世論」は簡単に変化する。メディアが世論を作り、それに従って世の中が動くと言う状況がここに生まれる。


◆そしてその状況からは、振り子の揺り戻しの芽は育たない。

 

パロティングが招く危機 : メディアが培養する世論


石川旺 リベルタ出版 2004.5

 

これは本の表紙に書かれた文章をテキスト化引用したものです。
要はメディアに載っている意見を疑いなく受け入れて、
それを自分の意見として無自覚に発信する人間が増えると取返しの付かないことになりますよ。
と書かれています。

 

パロティングはオウム返しのことだそうです。

人の口真似が得意な鳥のオウム、オウムを英語でパロット(Parrot)と言います。

parroting」は動詞「parrot」の現在分詞です

ejje.weblio.jp

 

 

触れられていませんが、ネットもメディアです。
ネットの情報も鵜吞みにするなということです。
更に言うと人間もメディアです、親・先生・上司・近所の人・友人の言うことを
鵜呑みにするのも考え物です。
宗教や政治思想もメディアであるでしょう。

 

じゃあ、何を信じればいいのか?
信じるな、判断を任せるな言うことです。全ての判断の軸を自分に置く。
自分がおかしいなと思ったらおかしいのです。

 

では、専門的なもの、全く分からないモノはどうすれば良いのか?
「クロス・メディア・チェック」を行えばよいとこの本にはあります。
複数の(出来れば意見の違う)メディアを使って比較検討する、そこに自分の熟慮が回復するはずだと。つまり本来持ってる能力でかなり行けると言うことです。

 

 

ただ、メディアは別でも情報源は同じ場合があります、
例えば、日本テレビと読売新聞では同じで、ヤフーニュースだけど配信元は朝日新聞とか、親会社が一緒の出版社。
ネットニュースでも配信元は一緒と言うことがあります。
特に動画を伴ったニュースなどはテレビ発が多く、ネット上で発信力を持つ人の意見も何が根拠かわかりません。

ましてや、そこのコメント欄に書かれた匿名コメント等は参考になりません。

 

しかし、それも何度も見れば人は影響されてしまいます。

 

現実社会においてもAさんとBさんに尋ねたが読んでる新聞はどちらも一緒と言う可能性もあります。

ネットメディアのCとD、書いてる人は一緒かも。又は広告主が一緒かもしれない。

ツイッターのEとFは同じ政党支持かもしれません。

テレビで紹介している意見がネットのものかもしれないし、

Gさんの発言はどこかの政府のコメントに寄り添うものかもしれません。

最も信頼のおける人も何か問題が起きて人間が変わってしまうことが有る。

 

自分の参考にするメディア、人がどういった思想や傾向、性質を持ったメディアなのかを把握しないと別の意見と比較することも出来ません。だから、ある程度この人を参考にしようと決めても判断を任せないで、この人どういう人かな?とか調べる必要はあるでしょう。

 

逆にこの人はいつも間違ってるなと言う人をウォッチしていても良いかもしれません。

その人が正論めいたことを言ってると感じた時は自分・世論が既におかしいのかもしれない。

 

また、新聞・テレビがまるっきり駄目だと言うわけでもありません。

取材する能力、現地現場にカメラや人を送り込む能力において、最高峰の組織のはずで、訳知り顔で何かを話す専門家やネット発信者よりも真実に近い所にいる人達です。

それをそのまま発信できるかどうかが問題ですし、受け取る側が偏向報道に気づけなければいけないですが。


ですから情報入手先の選定は苦労します。でも自分で選んで行って下さい、私も信用なりません、それこそ色々な人に聞いてみるのもよいかも。

分野ごとに複数人の有識者ツイッターをフォローするとかもアリかもしれません。
しかし、それでも信頼がおけると思った人も健康状態がかわったり、収益源の意向に沿った考えを発信しなければならなくなる場合もあります。だから1人は危険です。企業もずっと同じではありません。

だから情報発信者やメディアに専門知識や判断を任せ続けるのでなく、入門書を読んでみて基本情報を抑えておくと、おかしなことを言い出した時に気づけるでしょう。

 

誰かにモノを聞く際も同じ組織の人に聞くだけでなく親や友人、役所の人でもいいかもしれません。部活動についても別の部活動の子や別の学校の子に聞くのも良いかもしれませんし大人に聞くのも良いかもしれません。

いのちの電話」が役に立ったと言う人も居ますね。

 

本の中には○○新聞の思想的立ち位置や安全保障・原発についての考えが変わっていく様や
そうと気付かずに最初に選んだ新聞の考え方そのままの内容が有ると信じて読み洗脳されていく読者の危険さや
そもそもの日本の主要メディアが戦時を乗り越える為に何に寄り添い何を捨てたのか
1つの情報源を信じる事の危険さなどが書かれています。

 

内容が濃い本と言うよりかは、何かを説明するために必要な調査結果が淡々と描かれている感じの本で凄く面白い本系の本や目が覚めたと言う本ではありません。


出版社が既に店仕舞しているので古本か図書館で探すことになるでしょう、混乱が収まらず、むしろ混乱が大きくなるようにする人もいるかもしれませんので、紹介しておきます。


作者は石川旺(さかえ)氏、NHK放送文化研究所で働き、後に上智大学などで教鞭をとられた方です。

 

この文章には作者の考え内容だけでなく私自身の考えが入っていますので

読解の甘さや勘違い等あったら申し訳ありません。

 

と言うわけで、自分の言ってる事が自分の考えかをまず疑い、自分なりの考えがまとまる迄色々な考え方に触れ、その間は答えを決めずに保留するのも吉かもしれません。

 

 

 

 

20230320更新