無気力の心理学―やりがいの条件 (改版)
波多野 誼余夫/稲垣 佳世子【著】
中央公論新社(2020/01発売)
自信や成果に関係なく、人は無意識の内に封印している力や可能性、
そして意欲がある。
無尽蔵のチャレンジ精神と好奇心を全ての人が持って生まれてきている。
それを封印してしまったのは何故なのか?
出し切れない実力は誰のせいなのか?
と言うのを解説した本で、成功者にも失敗者にも
若者にも高齢者にもおススメで、
何もせずに万能感の中に迷い込んでしまっている人にもおススメ。
先ずはこれを見てみよう。
開始から1分30秒までで良い。
『魔法騎士レイアース』(マジックナイトレイアース )のアニメのオープニングです。
しかし、素晴らしいオープニング、僕自身も何回見たのか分からない。
伸び伸びする。
本編は何故か見たことが無いのだけど…。
公式ではないもののフルコーラスも検索かければ聞ける、それも良い。
「人間の本質が能動的で好奇心に富み、環境と生き生きと相互干渉しつ熟達を求めていく存在」
これの最も分かり易い状態が子供だ。
世話を含めた命の保証は必要だが、何でも触り、口に入れ、這ってどこへでも行き、いつの間にか立ち上がり、更にどこへでも行き、走りだすのだ。
いつの間にか言葉を覚え、覚えなくていい言葉まで覚える。
言葉と現実とをリンクさせる為に出てくる言葉は質問ばかり。
常に凝視し耳を澄ませ、喜びも不満も全て出していく。
褒められたからでも怒られたからでもご褒美があるからでもない。
自分勝手にやるのだ、そして怒り悲しみ喜ぶ。
これが、いつの間にかテレビの前に大人しく座る良い子になる。
親や学校が喜ぶことをやる子になる。
テレビCMの歌を口ずさみながらお手伝いはどうだ。
それがどういう状態なのか、本当に成長なのか。
躾(しつけ)と称して放置され我慢を強いられた子供が何かを失う、
大人しい赤ちゃんは、生まれてきたこの世界に既に絶望している。
辛い事に失った物の回復は非常に難しい。
更に言えば、
真面目な労働者、良いお母さんは、どういう状態なのか。
自分で自分の事はもうわからないかもしれないが、慎重に見直す必要あり。
殆どの事は取り返しがつかず、また変える事も難しい。
日本は40年前からヤバかった。
目次
第1章 どんなときに無力感が生じるか
第2章 乳幼児の無力感・効力感
第3章 失敗にもとづく無力感
第4章 自律性の感覚
第5章 他者との暖かいやりとり
第6章 熟達と生きがい
第7章 効力感を育てるには
第8章 効力感を伸ばす学校教育
第9章 効力感の社会的条件
第10章 無力感・効力感の日米比較
全10章、無力感を手に入れてしまえば犬ですらダメになるところから始まって、心がいかに弱く、痛めつけられた心を回復させるためには、
気の持ちようや個人の単なる努力などでどうになるモノではないところまで。
空港のそばに住んでいる子は忍耐力がないとか、結構どうしようもない事が書かれている、根性が無いとか意欲やる気が無いと人から言われる人は、実は自分が常に強いストレスにさらされていて疲弊している状態かもしれないと疑うことも考えた方が良い。
様々な事が書いてあるが、自分で読んでみて、合うなら他の著書や、この分野の勉強をするのも良いのかもしれない。
人それぞれに問題点は違うので、自分で読んで自分で自分を再建していって欲しい。
が、ぼく個人の考えとして。
誰のためにもならないが、自分だけが嬉しいこと、自分のいる環境において褒められたことではないが、どうしてもやってみたい事。
そういうものに取り組むのも一つの方法じゃないかと思う。
外部に評価を任せない喜びを手に入れる必要がある。
(ただ、積極的に他人を不幸にするとか犯罪とかはやめる。
1人を不幸にするとその背後の250人の怒りを買うと思え。
悪気はないが迷惑をかけてしまうのは仕方ないが。)
ブラック企業や、厳しい学校、新宗教などが
一見、一般論や真理の様に感じられる努力目標を設定して、
それを達成する過程で経済的・精神的保護を与えるとか
そこだけで通用する高い評価等を利用して承認欲求を満たすとか。
そういったことで、目次に見られる項目を埋めていく場合に注意が必要。
ワザと失敗させ、無力感を味わせ、
そこのルールを自分のものだと錯覚させ
グループ内で励まし合い助け合い、そこだけを仲間だと思わせる。
そのグループの目標を達成することに生きがいを見出させ
…まぁ、いい。
実は親も子供にそれをやる。
気付かないうちに自分の子供をダメにしてないか検証するのも良いかもしれない。
勿論、大人しい子供の方が楽で良いのだろうけど。
テレビ新聞ネットも似たようなことをしている。
幼児の段階でも学生時代でも新社会人になった時
結婚、出産、育児、家庭の維持、退職後まで
無力感はいつでも獲得してしまう機会がある。
誰に頼るでもなく、根源的な部分は自分で再構築しよう。
誰にも評価される必要も無い、自分だけがやりたいと思ったことを
自分の手で実現すればいい、発表は不要。
寧ろ誰とも比較のしようが無い部分でそれをやるのが安全だろうと思う。
ゲームとか資格とかも良くない。それはそれで、ドンドンやればいいんだけど、自分自身の再構築と言う意味では自分のみの誰にも立ち入れない聖地を一つ作っておいて大事にしておこう。
そして意志だけではどうにもならないので環境自体を変えることも考えよう。
アフリカに生まれ極東まで歩いてきた先祖を持つ我々が、どこにも行けないとか、何も出来ないとか、そんなわけないのです。
僕は保育園時には一人で三輪車を使用して隣の駅に到着し、パトカーを迎えに来させましたし、
友人は6歳越えた段階で線路が続いてるところは全て行けると自負していたそうですよ。
やりたいと思ったことは、その瞬間に行動してたはずなんだ、みんな。
教育に関わる人や育児に関係する人は是非読んで欲しい。
子供にかける一言一言が怖くなるよ。
著者の一人「波多野 誼余夫(ハタノギヨオ)」は
追悼文集があってPDFで読めるので時間があれば。
無料
以下PDF
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcss/13/2/13_2_147/_pdf/-char/ja
有料
ちなみに改版とあるが、字が大きくなっただけじゃないかと思うがどうだろう?
実際、古い中公新書と比較すると少しだけ文字が大きい。
ただ、同じ本の旧版は持ってないので比較の仕様が無い。
歌の方はAmazonプライムでも聞けたりする。(これは歌い方が少し違う、CDとかの方がアニメオープニングと同じかな?ただ、フルコーラスでもあるし。)
再生中に画面左下のLYRICSと書かれたアイコンを押すと歌詞見れる(検索すりゃ、出ても来る)。