Aの記

読めば読むほど強くなる本を探しています。

薬をください

家族の薬を貰いに行くことがある。

 

本当は診察をしてから処方箋が正式だろうけど、
病院に行くのが難しいが薬は継続して欲しい場合、
本人の代わりに家族が問診を受け処方箋と言う流れもある。

 

もう数年間不定期に、C病院に家族の薬のためだけに行く。
C病院は流行っている様で客は多い、職員も多い。


医師「ホントは本人が来て直接見せてもらった方が良いんですけどねぇ」
等と言いながら、殆ど「流れ作業」の様に決まりきった問診が行われる。
色々気遣ってくれいている様な話ぶりだし、言っている事は全うだが、微妙に違和感を感じる部分がある。

 

僕に話していると言うか、医師が想定した人形の様なモノを僕の前において、それに話しかけている様な感じ。

 

コッチとしては、鏡と話していると言うかガラスの向こうと言うか、本気で何かを言う意味を感じない気持ちになる。

 

ただ、これならば本人が来ても変わらん気もするし、あまりに淡々とした流れに、薬を代わりに貰ってきてと言われる理由も分からんでもない。

 

それでも、注意すべき点や助言などを聞いて退室。会計を待つ間に忘れないように、先ほどの医師の言葉をメモしていく。

 

そして処方箋を貰い、最寄りのD薬局に行く。
C病院が大きい事もあるし、他の病院とも取引があるのだろうしで、D薬局は小さいながらも常に誰かが待っている感じだ。

 

薬局に入ると先客が1人、先客は発声の調子がおかしいので、危険な人だろうと判断して見ないようにしていた。

 

処方箋を渡すと、薬剤師に「えっ?」と言う顔をされるが、「家族の者です、代わりに薬を貰いに来ました」と言うと「そうですか、ではお待ちください」と、これも繰り返された流れだが、この薬局に来るのが不定期でかなり間を空けるので、バカみたいに繰り返される。
年に何回か来る人の顔など覚えていないだろうから仕方ない。

 

薬を待つ間に別の薬剤師が対応していた危険そうな人物は薬を受け取り穏やかに帰って行った。

僕は待ちながら先ほどの医師の助言のメモに抜けが有るのを思い出して書き足していく。

 

別の女性客が入ってきて薬剤師に処方箋を渡す、馴染みなのか薬剤師と患者の関係を乗り越えて、楽しそうに雑談している。

 

雑談を終え、薬剤師は仕事に入るが雰囲気が変わる。
何か悩んでる感じ。処方箋の女性客を呼び出して
薬剤師「この薬を2錠にすることについて説明はありましたか」
女性客「いえ、わかりません」
薬剤師「この薬を1度に2錠飲む事はあまりないんですけど、今までは1回に1錠ですよね?」
女性客「はい、1錠ずつです。」
薬剤師「お医者さんから何か言われてませんか」
女性客「いつもと同じだと思いますけど、わかりません。」
薬剤師「そうですか、わかりました、お待ちください」


何が分かったのか知らないが、薬剤師はパソコンの前に座って処方箋の紙を見ながら調べものを始めた。
調べものをと言っても、薬剤師の中で答えはもう出ていて、それを確認しているだけにも見える。

 

なんかもう極まってきて、天井を見あげ始める。

その内に意を決したのか「エイッ」と聞こえそうな勢いで電話をする。

医師ではなく、医療事務か看護師辺りと話している様だ。

 

薬剤師は、処方箋の内容について病院に説明して、遠回しに言って普通でない量だ、に続けて
「あの先生、アレでしょう?」
と病院の人間に同意を求めた。

 

何がアレなのか知らんが、薬剤師に「アレな面のある医師」と思われて居るようで、それが病院側も否定しない風であると、会話からの印象を受けた。

 

医師には取りつがなかった様だ。
薬剤師としても、ある種の言い訳と言うか、病院側に問い合わせる事で保険をかけたか。
しかし、直接対話になると厄介な医師なのかもしれない。
過去に揉めた可能性もある。

何にしても処方箋の変更は無しの様だ。

 

電話の声をこちら側で聞いてる女性客の顔を見る事を僕には出来ない。

 

電話を切った薬剤師は、PCの前に座ったままで調剤を始めない。

 

その内に別の薬剤師が僕の家族の名前を呼ぶ、
会計を済ませ、「袋はどうしますか」「下さい」「有料ですが」「構いません」の無意味な問答をして再び会計。
袋の話を一日何回やるんだろう?と思うと気の毒になる。


倍量の薬を処方された人がどうなるのか僕は知らない。
先に帰ったから。

 

ただ、自分の家族の担当医師でない事を願うばかり。

 

 

薬局の息子が何を間違えたか、人体模型柄の全身タイツを着たプロレスラーになって悪のドラッグストアチェーンと戦う映画。クセのある映画が平気ならお試しでドゾー。

 

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