Aの記

読めば読むほど強くなる本を探しています。

大江健三郎と無関係な映画

大江健三郎と無関係な映画

 

本とその時期に観た映画について書いておく。

直接の関係はなく、自分の中で関連付けられてしまった映画2作。

 

  • 黒い太陽七三一 戦慄!石井七三一細菌部隊の全貌
  • 鬼が来た

 

まず、大江健三郎に関しては新潮文庫のリストで上の方から3冊は買った、その買った本を全部読んだかははっきりしない。

映画と関連付けられたのは1冊目の「死者の奢り(おごり)・飼育」になる。

 

死者の奢り・飼育

大江健三郎/著 新潮文庫 1959/09/29

 

この本には6作品入っている

「死者の奢り・他人の足・飼育・人間の羊・不意の唖(おし)・戦いの今日」

 

最初に読んだのは「他人の足」で、高校1年の時に現代国語の先生がクラス人数分コピー・配布し、授業に使った。

正直、高1に読ませる内容ではないと思われるが、この作者独特の異様な「いやーな」ものを感じた。

「俺の綺麗な青春返してよって感じ」

あの日の放課後が思い出せる位だ。

 

何年か経って、何となくこの文庫本を買ったら偶然にも「他人の足」が入っていて「またか!?」と。

だって、タイトルは「死者の奢り・飼育」だから、2本立てだと思うでしょうが~。

 

後味がそう悪くないのは芥川賞受賞作の「飼育」位のものか、でもなぁ。

他は加害者とも被害者とも傍観者とも言えない追体験を強いられ、読んだ後に目が虚ろになったと思う。

 

人の気持ちが分からない系の人は読んでみると幾らか分かるようになるかもしれない。

人の気持ちを感じ過ぎる人には薦めない、かなり影響を受ける、気持ちよく笑えなくなるかもしれない。

何とも言えない苦々しい気持ちになる。

その苦みに印象的な情景描写が加わって、脳内記憶に映像込みで格納されトラウマになる。

どれも辛いが、僕は「人間の羊」が一番苦手。

 

今は書店で大江健三郎フェアみたいになっている、こういう機会にでも多くの人が読むと良いな。みんなで苦しもうよ♪。

 

 

「死の奢り」は死体保管のプールとそこに浮かぶ死体が印象的な話で、その死体描写が妙に生々しい。

僕の20歳前後の頃に、友人の間や本などで「あるある」と言われていた高額アルバイト「死体洗い」の元ネタはこれかも知れないな等と思った。実際にあるかどうかは知らない。

その生々しい死体が、この映画にある。

 

黒い太陽七三一 戦慄! 石井七三一細菌部隊の全貌

日本公開 1995年 制作国 香港 上映時間 105分
監督 牟敦芾

 

森村誠一悪魔の飽食」を下敷きに、第二次世界大戦中の日本軍による、中国での人体実験の残酷な話を映画化したもの。後に丸々本当って訳でもないとも言われてるらしい。未読。

 

映画自体は社会派のつもりで作ったらしいが、実際はホラー映画と言った方がよい。

この映画での人体実験とは、極限状態がどれだけ人間にダメージを与えるかというもので、いかに回復不可能な障害を与えるか、どういう風に死に至るかをひたすら見せるものだ。一応、実験のテーマとしては気温の低い所に居た場合とか、有毒なガスがどうたらとか、どれだけ大丈夫か?を見てるんだけど、実際は全部アウトなラインに達してるので殺戮ショーみたいになってしまっている。

 

実際、自分の会員になっていたレンタルビデオ店ではホラーの棚に収まってた。

あらゆる要素を抜きにして、単純にホラーとしてみると合格点以上、お金も人もかけてるし良い方だと思う。

勿論、内容が人としてどうかと言えばNOでしかない。

あくまでも架空のホラー映画としてなら。

 

元ネタと言うのか「悪魔の飽食」は随分と話題になり、漫画等でもそのテーマは使われていた。石井隊長と731部隊は一人歩きする程有名で、NHKか日テレか生き残りの人のインタビュー交えたドキュメンタリーが昔有った様な気がする。

特攻兵器、沖縄地上戦と並んで戦時下日本の凄く辛い部分だな。

 

映画に戻る

この中に妙に生々しい死体が映る、なんと言うかしっとりして、存在感がやたらとあるのだ。これはホラー映画を守備範囲に持ってる映画好きの友人も共感してた。

 

年月経って、ネットで情報が出回るようになると、どうやらアレは本物を撮影したらしい。という事になり、動物虐待映像も含めて、不味い映画となった。

 

続編はDVD化されたが1作目はDVD化されなかった所を考えると、本当なんだろうなと思ってる。

なんかDVD化されてるような…。

 

 

「飼育」これも第二次大戦中で、アメリカ黒人兵を捕虜にしてする世話を飼育と称する何とも難しい話だ、取りあえず綺麗な文章は多い。

で、それと関連づいて思い出したのが

鬼が来た!

日本公開 2002年 制作国 中国 上映時間 139分

監督 姜文

 

第二次世界大戦時の中国が舞台で、はぐれた日本兵が捕虜として中国人に世話をされると言うか、匿わられる、内緒で保護される感じ。

その日本兵香川照之が演じている。

不思議な信頼関係と言うか、人の良い中国人と、はぐれ日本兵の物語である。

言葉の通じ合わない者同士の手探り感とかね。中国は土の国だなと当時思った。

飼育と逆とも言える展開、香川照之の暴走、これまた一度見れば忘れられない。

 

この映画2作は大江健三郎と全く関係が無い、ただ何となく思い出してしまう。

 

飼育は大島渚で映画化されている。