「80歳の壁」
全ての病気をコントロール等出来ない、老いは止められない。
それを受け入れた上でよりよく生きる方法を考えろ。
謙虚になれと言ってるのかな。
良い点
「読みやすく・速く読めて・分かり易い」
特定な現場のみでの結果論的な物言いがあるが、それは正論じゃないけどと但し書きが付くので極論の世界にはいかないで済む。
悪い点
新書で990円は高い。
話し言葉なので有難みには欠けるのと和田さんの声と顔がそのまま浮かんでしまう。
「80歳以降はいつ死んでもおかしくないんだから」と、
裕福な高齢者を想定してる文面が時折気になる。(若者より高齢者の方が豊かな人が多いのはそうだろうけど…)
本論
目次だけで11ページある、異常だ。
2,3ページ毎に1タイトルが多いが、凄いのだと1ページに2タイトルだ。
考え方は目次=索引かもしれないな、これは。
目次をパーっと見て自分の読みたい所を見つけて
そのページを見る。
むしろ、辞書に近いのか。いや目次ってそもそもそういうものか?。
これはこれで親切なのかなぁ、どうなんだろう。
とか色々先走った考えで、読み始めたが普通に読めた。
1つの流れでキチンと書かれていて、
その流れの中の見出し見出しを、タイトルとして立てているものであった。
売れっ子作家の高齢者向けの幸福論や健康法みたいな本。
意見や考え方は今時の健康本を幾らか読んでれば目にする意見が多いが、
実際に80歳の人が読むと驚くかもしれない。
医者の言うことを聞くなとか、ガンを治すなとか、太ってた方が良いとか。
作者は和田秀樹、精神科医で病院も持ってる。
非常に多くの本を書いてる人でかつては受験勉強についての方なんかも書いていた。映画監督もやってるし、メディアの出演も多い。
正直、こういうタイプの人の本は内容が薄くなりがちなので好きではない。
同内容の本を色々な出版社から出したり(これは出版社にも問題あるか…)
1年後には古本屋にズラーっと並ぶ本だろう。
しかし、今の事を今の人が書いてる本を読むのも大事じゃないかと、
本の賞味期限は短かろうとも旬の時期に読むのであればメリットもあるんじゃないかと買ってみた。
特に最近はテレビラジオなどを見聞きすることが減ってしまって、世相に疎くなりすぎてるかもなあ、なんとかしないとなあ、の自衛の一つでもある。
大まかには
プロローグ
1 80歳と言う年齢
2 医療について
3 老化とそれにまつわる話
4 認知症・ぼけ
エピローグ
なので、普通に読む分にはまともな範疇かと。
取りあえず、ガン、塩分、タバコの捉え方に関しては賛同出来ない。
後は大体賛成かな。
全般的に、一般常識で言われてるよりも自分にもっと甘くてよい
どんなに自制しても悪くなる時は悪くなるんだから、その時その時の
ベスト、ベターくらいか、つまり無理しない範囲で楽しい人生を謳歌すればよい、
と書いてある。
ガンだろうが認知症だろうが、人生が一変するわけではない、
それ以前からの延長線上であって、落ち込んでも仕方ない。
告知される前の月、なんだったら前の年も実は病気になってて気付かなかっただけなんだから、その時は別に大したこと無かったでしょ?なら告知されてもそんな変わらんよ。
のスタンス。
仮にガンになっても痛いモノばかりではないし痛くても痛み止めがある。恐れる必要はない。
これに関しては割となるほどなぁと賛成。
高齢なら癌の進行も遅いから手術や治療で身体にダメージ受けるより他の選択をなど。
これは難しい。
事故とかでイキナリ死んじゃう人いるのに
80歳の人が先の事考えて、健康の為にアレコレ我慢は無意味。
これもまぁそうよね。
日本の多くの医者は、病気それ自体や検査結果の数値などの医療的な基準と
患者との違いを正す事を治療ととらえている。
正常値でないから異常。
異常を治す、治すためには健康を害しても構わないし、患者が苦しむのも気にしない。
それで良いのかを自分で考える必要がある。医者に逆らう事になるかもしれず
結果、現在の医療機関から放り出されることも覚悟のうえで自分にとって良い人生を選ぶ必要がある。
でないと、医者のモルモットになって終わり。
それで苦しみ抜いて少しだけ長生きして死にたいですか?。
と言う話で、人生に対しての完璧主義は捨てる必要があるし、権威(医者)との対決も必要。
直すべき病気、というか症状か、生活に支障をきたすものは治す必要があるが、
少し具合が悪いを全快にするために身体を切るのかい?
1日10種類以上の薬を飲むのかい?(副作用あるよ)
的な。
特に80歳以降と言う、無理が効かない時期をどう生きるか
一方的勝利はなく持久戦であり、
昔から言う、上手に病気と付き合う感じ。を頭に入れておけになるのかな。
それと、糖尿病の薬が認知症をすすめてしまうのでは?と言うのは初めて聞く考え方だった。
(確かに、喘息の薬が便秘にさせるとか、結構変なのあるんだよね)
内容的には流行作家の新書でよくあるボリューム
一生の本になるようなものではない。あっという間に書いたんだろうなぁ。
まぁ、医療は患者が考えてる程に万能じゃない、なんなら大して良くならない場合が多い。と言ってるのかも。でもそれを医者が患者に言うことないかもね、とも。
読む方もあっという間。
ただ、難しい本を買って5年寝かすよりは全然いいのかも。
3月の段階で長く続いた体制への批判を普通にしてる辺りも面白い。
その発言・姿勢ゆえに身の危険を感じながら生きていたと書いてる辺りも興味深い。
幻冬舎はなんとなく体制寄りなイメージがあるけど、
この位は平気なのかな。そりゃそうか。
おススメと言うほどではないが、良い方の刺激もあるし良いかと。
タイトル付けは何か微妙だけど、普通とは逆で壁の向こう側と言う意味なのかな。
(帯にもそう書いてますね)
もう戦わなくて良い人生の開始時期が80歳で、全てを受け入れ
自分に良いように取捨選択することで
幸福な人生が始まるよとか、そういうのかな。
医療常識や体制に対しての、向こうっ気の強さに敬意を表して。
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