Aの記

読めば読むほど強くなる本を探しています。

読む時間 アンドレ・ケルテス 創元社

アンドレ・ケルテス

読む時間

創元社 2013

 

本があなたにウインクしたのです

写真集を買うことは少ないが、この本は4回買っている。

1冊は自分用、1冊は母に、2冊は知人に贈った。

本をと言うより、この本を見ている時間をプレゼントしたかった。

 

殆どのページに読書している人たちの写真が載っている。

その人たちの夢中になって本を読む姿は清々しく見える。

集合住宅の上に水着で寝そべりながら読んでる本の内容や、落ち葉に敷物しいて姿勢正しく読んでる本の内容がなんだかわからないが、多分、良い感じの気持ちで、心の中は別の世界にいるんだろう。

 

そういう息抜きが必要だ。旅行の様なもので心をここからどっかに飛ばす必要がある。

そんな感じで買い、人に贈った。

紙カバーが本全体に足らず上の方は本体が出てしまっている。微妙に思ったがそういうデザインなんだろう、デザインの人の気持ちは分からない。

布張り風の本体だが、凸凹させたビニールじゃないかな、質感はいい。はみ出た本体上部に原題の「 ON READING 」が見えててカッコいい、触ると文字が刻印の様にちゃんとへこんでいる。

紙カバーも艶消しで雰囲気が有る。こういうのを持つと物質としての本は良いなぁと思う、、、が果たして全ての本がこれだけ凝ってるかと言ったら、そうでもないし、そこまでする必要もない。この本は特別だ。

 

中見出しの「本が~したのです」は、日本版だけにつけられただろう谷川俊太郎の巻頭詩の一説。

 

学芸会の楽屋か天使の恰好をした少女が読む本は舞台と無関係かもしれない、捨てられて紙がバラバラになった漫画を読みふける少年、ベンチに並んで腰掛け一冊の本を2人で読む男女、場所も屋上から川べり、ニューヨーク、パリ、お茶の水、マニラ、船上まである。

よくある、無人島に本を持っていくとしたら何持ってく?は逆にドコ迄本持ってて読める?もあるかもしれない。

 

最後のページが、身寄りも無く金もなく、救護施設で死を待つばかりの老女の読書の様に見える。

 

本を読む時間は自分の時間があるということで、取りやすい所に置いて

気が向いた時にこの本を手に取り自分の時間を手に入れることにしてる。

 

2022年6月27日に更新しました。

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