書店にあるPR誌を知っていますか?
レジ横やパンフレット棚等に並んでいるもので、毎月出ているのか「○月号」と表記されている場合が多いです。
無料で配ってるアレです、ご自由にお持ちください的な。
主にA5版サイズで、数枚の紙を折って重ねただけのものや枚数が増えて背の部分でホチキス止めしてあるものなどもあります。本より冊子と言う感じでしょうか。
内容は一番シンプルなものだと近刊の紹介と今の人気作の紹介で、文庫本の中に入ってる折込チラシに毛の生えた程度です。
無料ですし…。
出版社が自社の本の販売促進の為に出しているのが多いと思いますが、本格的になると紹介と言うより書評になり、連載小説、マンガ、エッセイ・コラムあり、他出版社の広告まで入って、ちょっとした雑誌を超える充実した内容になっています。現役感バリバリの有名な方の文章も多く、若くこれからの人ってのもいますです、はい。
ちなみに「波」7月号の目次がこれです。
筒井康隆/美食日記ふたたび 第5回
阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第70回
【加藤シゲアキ『オルタネート』文庫化記念特集】
[著者インタビュー]加藤シゲアキ/加藤シゲアキの現在地
福田里香/悲しい時に何食べる?
珠川こおり/高校生にとっての養分
三浦しをん『墨のゆらめき』
酒井順子/文字を通じて歩み寄る、「書く男」と「見る男」
乃南アサ『雫の街―家裁調査官・庵原かのん―』
池上冬樹/「生きる価値がある」ことをかのんが教えてくれる
鈴木涼美『浮き身』
桐野夏生/虚空に漂えば
高橋弘希『叩く』
佐藤厚志/あなたかもしれない
新川帆立『縁切り上等!―離婚弁護士 松岡紬の事件ファイル―』
藤田香織/「明日」のために「今」読まれたい物語
マギー・オファーレル、小竹由美子 訳『ルクレツィアの肖像』(新潮クレスト・ブックス)
南沢奈央/一枚の肖像画の、その先に
春画ール『春画の穴―あなたの知らない「奥の奥」―』
新井見枝香/春画の中にストリップ劇場の影を見る
武石勝義『神獣夢望伝』
池澤春菜/有望の作家、世に出づ
中西智佐乃『狭間の者たちへ』
古川真人/支配の核を射抜く目
益田ミリ『ツユクサナツコの一生』
津村記久子/新しい実感のその向こう
オバック 絵、たけむらたけし 文『アイラブみー じぶんをたいせつにするえほん』
てぃ先生/自分のためのシャンパンを注ごう
新城道彦『朝鮮半島の歴史―政争と外患の六百年―』(新潮選書)
小此木政夫/朝鮮独特の「政治の磁場」
【特別企画】
高橋洋二/極私的「タモリ倶楽部」回顧録 中篇
【短篇小説】
北村 薫/手品から蜂
【私の好きな新潮文庫】
青木祐子/ひとりの夜に読みたい小説
星 新一『ようこそ地球さん』
朱野帰子『わたし、定時で帰ります。』
太宰 治『人間失格』
【今月の新潮文庫】
早見 俊『ふたりの本多―家康を支えた忠勝と正信―』
末國善己/見事に噛み合う正信の知と忠勝の勇
【コラム】
[とんぼの本]編集室だより
中島弘象『フィリピンパブ嬢の経済学』(新潮新書)
中島弘象/外国人妻との生活で見えてくること
三宅香帆/物語のふちでおしゃべり 第16回
三枝昴之・小澤 實/掌のうた
崎山蒼志/ふと、新世界と繋がって 第10回
【連載】
エリイ(Chim↑Pom from Smappa!Group)/生時記 第11回
近藤ようこ 原作・梨木香歩/家守綺譚 第10回
大木 毅/指揮官と参謀たちの太平洋戦争 第8回
橋本 直(銀シャリ)/細かいところが気になりすぎて 第9回
二宮敦人/ぼくらは人間修行中 第28回
高嶋政伸/おつむの良い子は長居しない 第10回
伊与原 新/翠雨の人 第18回
川本三郎/荷風の昭和 第62回
編輯後記 いま話題の本 新刊案内 編集長から
リンク
無料なのにね。
大手書店が自分達で編集し、テーマごとにまとめたり、個人的っぽいお薦め本を紹介したり、作家に記事を書いてもらったりしてるものもあります。こっちはちょっと文芸同人誌風な熱量と言うかそんなのもあるかもしれないです、内容的には文字数を埋めるプロの人が書く文章よりも好印象だったりもします。
PR誌自体も面白いですし、そこで紹介される本は独自の視点からのものがあり、気付きを与えてくれます。
ネットではパーソナライズ(パーソナライズとは? 顧客に与える影響、必要性や活用ポイント・事例も紹介 │ Yahoo!広告)された本ばかりが出てきます。ざっくり言うとその人が欲しがりそうな本ばかりが表示される様にできています。
それは場合によっては落とし穴、ゲームで言えば「ハマり」状態の様な物なので、良い状態とは言えません、テレビやラジオ漬けより不味い場合があります。
加えて、大量の広告で訳わからん状態になりがち。
なんで、書店で見かけたら手に取ってみると良いかと思います。帰りの電車でスマホを30分見るのとは違った文章体験が得られ、昨日まで興味もなかった本が読みたくなることでしょう。
兎に角、新鮮な情報が入ってくる感じです、不思議なもんで。
※ただね、微妙なPR誌も並んでる場合があるんですわ。一応、宗教系は避けといた方が良いかも。殆どはちゃんとしてるでしょうけど、そうでないものと見分けるのが難しい。
でね、
このPR誌と言うのが微妙に入手難度が高いのですよ、安定しないと言うかね。
複数フロアを持つような巨大書店なら有るでしょうが、有名チェーン店の普通の本屋さん規模でも全然ない場合もあります。
書店の方に聞くとですね、「出版社が他の本の注文に合わせて勝手に入れてくる」「じゃ、折角だし並べときますかとレジ横に」と言う流れだそうです。
「いや、俺は欲しいんだ」と書店にお願いすると、1冊100円(「新潮の波」の場合)になるそうで。
1冊100円
書店から出版社に注文すると、そのお金の流れが発生。勝手に送られてくるものを並べたのを貰うなら無料。
なので、無料で欲しい場合は、自分の生活圏の大型書店を見るのが良いですね。聞くと出てくる隠れキャラ的な店もあります。そういう店は何か買うついでに貰うのが良いかもですね。
そしてもう一つ、これは常連の読者が居ますので、発売日を抑えておくことです。雑誌と一緒で大体決まっていて、次の号が近い頃には無いですから。
1冊100円と書きましたが、年間契約の定期購読で家に届くのもあります。探すの無意味とか書店遠い場合はありかもですね。あ、50円もあったりします。
後、PR誌っぽいけど、普通に販売されてる本もあり、しかも紛らわしい事に結構近くに並べたりする書店もある。
勝手に持って行かない方が良いです、特に最初は。うっかり万引きでも犯罪ですしね。
ネットで文章読めたりもするんで参考までにどうぞ。でも、これは難しいな。
https://tanemaki.iwanami.co.jp/tags/%E3%80%8E%E5%9B%B3%E6%9B%B8%E3%80%8F
「 出版社名 + PR誌 」で検索すると結構出てきます。
切っ掛け
本を買う時に適当に貰う事が多かったのですが、今回特別に意識したのは「新潮社 波」と言うPR誌の為です。
”特別企画 高橋洋二/極私的「タモリ倶楽部」回顧録”と言う記事が載りますよとSNSで見て、読みたくなりました。
「波」6月号掲載の放送作家・高橋洋二さんによる「極私的「タモリ倶楽部」回顧録」が面白い!
— 金寿煥(編集者) (@KimuSuhan) 2023年5月25日
あの当意即妙に見えるやり取り、実は「「タモリ倶楽部」の台本はどうかというくらい「想定のやり取り」を書くものなのである」らしく、その一例も引用されているのだが、それが滅茶苦茶読ませる。 pic.twitter.com/36VBd94W2y
いざ探してみると生活圏の書店で3軒全滅。
そもそも業界関係者の方が書店に出回る前に読んでSNSに情報発信しているので、
この段階では書店に並んでないんですわ。
全滅したその内の1軒で色々教えて貰いました、「PR誌」と言う言葉もそこで初めて正式な名称だと知りました。
なるほどそうかと、日頃は行かない超大型書店に行くとPR誌置き場になく、サービスカウンターで聞くと文芸フロアに、そこに行くためにエスカレーター乗ってようやく入手です。
こんな入手困難なものがあるのかい?と思い悩んだ末のブログ記事・犯行です。
もっと入手しにくくなって皆困れば良い。(*'▽')アハハハ ♪
ちなみに、タモリ倶楽部の記事は全3回だと思われ、7月号は第2回目(前編、思い出、後編の内の思い出編)が載っています。
面白いですよ。
1回目(前編)はエレファントカシマシの宮本出演会についての記述もあります。
(ちなみに、「波」は”雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。”なので7月号が有る内は6月号つまりタモリ倶楽部の記事の1回目の号を取りよせることができます。)
今月号はジャニーズ事務所のタレント(加藤シゲアキ氏、表紙の文字は手書き文字を元にしたものです)さんが表紙で、美形につられてハイペースで持っていかれるのを防ぐ為か客側から見える棚にはありませんでした。
店員さんにお願いすると出てくる感じです。
ちょっと面白いのが、支払い防止の為でしょう、冊子の値段とバーコードが黒塗りで機能しない様になってます。
お金を払わせない、強い意志を感じますね。
PR誌を気にするようになってからネットでみると
こんな記事もありました、勉強になります。
(簡単に)出版社PR誌とは
★超有用な記事★
(評論家の文章)読書人必読! PR誌の魅力とその特徴とは?
※このサイトが終わるらしく7月いっぱいしか読めないようです。
読むのであればお早目に。
(PDF、上の評論家の文章の最初の画像の中身、データ的な面が多い)
本と読者をつなぐ― 今、出版社のPR誌はこんなにおもしろい!
http://www.lib.meiji.ac.jp/about/exhibition/gallery/80/80_pdf/pamph.pdf