Aの記

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元社長が語る! セガ家庭用ゲーム機 開発秘史 ~SG-1000、メガドライブ、サターンからドリームキャストまで~

元社長が語る! セガ家庭用ゲーム機 開発秘史
SG-1000メガドライブ、サターンからドリームキャストまで~

 

佐藤秀樹 著 徳間書店 出版年月日    2019年9月30日第1刷

 

(そうか、マスターシステムメガドラはデザインしてるとこが外注で一緒なのか、なるほどなぁ色味とか近いし箱の感じも似てる)


面白い。


海外青年協力隊を目指した学生が夢破れ、
適当に見つけた会社の採用期間終了後に、
履歴書も送らずにいきなり面接に行って、
採用されてしまってから社長になるまでの話だ。

 

立志伝と言って良い。

いきなり横道逸れるが、こういう人の存在を知ると下積み時代とかのんきなこと言ってる場合じゃないね。

 

大手企業の成長期で活躍した人や創業者のノンフィクション物みたいな感じか。

朝ドラでやると良い。

 

まぁ朝ドラは良いとして、「社長が書いた暴露本」とSNSAmazon辺りで言われているこの本だが、本当に凄い。
暴露本の定義は知らないが、登場人物に嫌な思いをさせるのが条件の1つならば、余裕でクリアーしている。

 

ちょっと口が悪すぎる、どいつもこいつもポンコツ扱いだからね。

更に、お金の話とか契約の話とかが生々しすぎて勉強になる。

逆に、物作りで食おうなんて人には色々と参考になるかもしれぬ。表現の仕方が悪いので腹が立つ内容も多いがここまで実の有る話はそう読めるもんじゃない。

 

何より、入れて貰えた会社セガで最先端と業界トップを目指し挑戦し続けるのは本当に充実してたんだと思う。ワクワクしてるのが伝わってきた。

あっという間に読めた。

 

ゲームクリエイターと呼ばれる様な人たち、プログラマーやプランナー、その辺からプロデューサーに上がった人達が語るゲーム関連の話は世に多いが、ゲーム機そのものを作る人の話は珍しい方だろう、ましてや世界的企業のセガで、開発したゲーム機の数は多分世界で2番目だろう、一番は任天堂

そのかなりの部分に関わった人の話がつまらない訳がない。

 

つまり、内容は本のタイトルでほぼ全部表している。

 

特徴的な点は、左綴じの横書きである、写真がない、図等も殆ど無く1点(矩形波の波形)あるのみ。



索引も無いが、かなりの量の語句説明がある(多い時は見開きの右半分が語句説明、とんねるずに説明が必要かどうかは微妙である、いとうせいこう迄あるのなら高橋由美子も入れても良いと思う)。

誤字脱字が多い。


社長とは言っても、長らく技術の人であり、セガが家庭用ハード撤退時から社長をやられた方なので、視点としては社内の技術トップの感じと思う。

それも有ってか技術寄りの内容が多い、そればっかり。
これを一読で全部理解出来る人って、ゲーム好きと言うより何かの専門家じゃないかと思う。
自分には難しい部分が多かった。

それにしてもセガのゲーム機と言うのが勢いで作られてる感が強い。

 

()

 

横書きの理由は横文字の文言が多いからだろう、CPUが何だとかアキュムレーターがどうとか、DDRSDRAMがどうとか、もう大変。
ぺんぺんトライアスロンとかほっとするもの。

 

写真・索引が無いのは勿体ないかな、急いで作ったか?。
表紙もシンプル、白地に黒文字のみだ。

 

セガWebサイトにハードの写真やデータあるから見ながら読むと楽しい。

www.sega.jp


SC‐3000のTVCMが「とんねるず」で、セガの家庭用を終わらせたのがその盟友「秋元康」と言うのも中々。

 

最終ページ奥付にある「協力 川口洋司」が見覚えある名前だなと思ったら、ゲーム雑誌のBEEP!メガドライブ編集長だった人だ。


細かい事幾らか。
大川功有ってのハードメーカーセガ、入交さん勿体なすぎ、特に家庭用ソフト作成者を軽んじすぎ。

セガがこうあって欲しい」に関しては共感する部分もある。誰も反対しないものを作ってそれが大ヒットするかと言えばそりゃ微妙。


でも、数撃てば当たるが駄目だったから今なわけで。
それでも存続してるのは後を継いだ人達の尽力の賜物で、
佐藤氏が弱い弱いと言い放ったソフトメーカーとして20年以上よく続いている。

と言っても、ハードメーカー時代の遺産のおかげもあるだろうし…。

モヤモヤするな。

 

むー。

”その点、ナムコあたりは、ゲームの本質を考えて、面白さの核はなんだと考え、ならばこういうふうにしたらどうか、キャラクタライズしたらどうかという発想が出てくる。そういうところがセガには欠けているのかも知れない。”

p.151

 

もうセガがハードをやっていた期間より、やめてからの方が長いのか。

失敗しても次頑張れよと言う時代が日本にまた来ればいい。

 

後ね、なんか大川功に興味が出てくる、その内に読んでみよう。